心が健康に与える影響【自律神経と条件反射】
「病は気から」という言葉があります。
嫌な人が近くにいればそれだけでストレスが溜まり、胃腸の調子は悪くなります。
いつも能天気で朗らかな人は、夜寝られないということはありません。逆に、普段から悩みを抱えやすい人は、不眠を患いやすいものです。
このように心の状態は身体の健康を変化させます。
いったい、どのようにして心の不調が身体に影響が与えるのでしょうか?
自律神経の影響(交感神経・副交感神経と精神状態)
なかでも一番メジャーで分かりやすいものは、自律神経による影響です。
交感神経・副交感神経、この二つを併せて自律神経と呼びます。
自律神経は背骨の側に縦に走っており、そのはたらきは、体のアクセル(交感神経)・ブレーキ(副交感神経)を調整することです。
アクセルが入ると鼓動は早くなり、発汗作用で汗がダラダラと出て、瞳孔は大きく開き、毛が逆立つようになります。
これが交感神経のアクセル作用です。何かと戦ったり、逃げたりするために臨戦対戦になるための神経です。
逆に、副交感神経のブレーキがかかると、鼓動は遅くなり、胃腸の動きが活発になり、体中の力が抜けてリラックスした状態になります。
では、このアクセルブレーキはどのようにして調整されているのでしょう?
最も身近なのは、何かに突然ぶつかってビックリした!とか、布団に入っていたい、バスに乗り遅れそうになって焦っている、など、すなわち心の動きです。
驚いたり、怖くなったり、焦ったりするだけで、交感神経のアクセルがかかります。
こうして身体がすぐに動ける、戦える状態を維持します。しかし、ずっと緊張しっぱなしでいると当然疲労が溜まってしまいます。
現代では仕事やストレスなどで、必要もないのに心だけが緊張するようなことが多く、忙しい人は常にアクセルがかかりっぱなしになってしまいます。
すると、特に何もしていないのにずっと疲れが取れない、日中ずっと体がだるい、といった症状に悩まされることになるのです。
身体の反射・逃避反応と条件反射
目の前に何か危険なもの置いてあったり、怖い人がいたら、当然避けたいですよね?
例えば、人から鋭い刃物や針を手に当てられると、危ない!と感じて手を引っ込めたくなります。
このような、避けないといけない危険なものを感じ取った時に、直観的に避けようとする動きを、逃避反応と呼びます。
この逃避反応、実は「 物 」に対してだけではなく、「 物事 」に対しても起こることに気づいていますか?
例えばやりたくないこと、テスト勉強、仕事、嫌な人間といった、「避けたいもの」に対して人間は本能的に、避けるように行動してしまいます。
そして、この反応が様々な病気を引き起こすのです。
この逃避反応は、危険を回避するためには絶対不可欠なものです。
もしもこの反応そのものが一時的なものであれば、健康をひどく損なうことはありません。
しかし、日ごろから、常に避けなければならないものが目の前にあったらどうなるでしょう?
例えば、自分の右隣の席に、毎日とても嫌な人が座ります。
あなたはその人と目を合わせたくもありません。
すると、反射的に首が右を向けないようにガチガチに固まってしまい、肩がバンバンに張ってきます。結果、首を痛めたり、全身が固くなって血流が止まってしまったりしまうのです。
血流の低下は様々な病を引き起こすことが知られています。例えばガンや過労性炎症の原因にもなります。
しかし、これはまだわかりやすい例です。
日常から激務を続けていると嫌な事に取り組み続けることが当たり前になってしまったり、自分自身でも気づかないうちに無意識にストレスをため込んでしまうケースは山ほど存在するのです。
下手をすると知らないうちに鼓動が止まって過労死、なんてことにもなりかねません。
自律神経や条件反射は、それだけ強力に身体に作用するのです。
日常的に心に受けるストレスというのは、身体から切り離して考えることはできません。
現代は次々とひっきりなしに情報が入ってくる、脳にとってはとても忙しい社会です。
時には心を休めてあげることも、健康を維持するために必要です。
健全な肉体は、健全な精神にこそ宿るのです。
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