なぜ人は怒るのか?
人間は、怒る生き物です。
一生を通して、一度も怒ったことがない人はいないでしょう。
他者から悪口を言われた時、邪魔された時、失礼な態度を取られた時、恩を仇で返された時、病気で身体が痛むとき・・・
怒る理由は様々です。
しかし、怒りが起こるその根本の理由は突き詰めてしまえば、「自分の思うとおりに物事が進まなかったから」です。
人間は、常に過去の経験から学び、経験から未来を予想して生きています。
未来を予測する力である「想像力」を用いて、我々は生きるために必要な経験や知識を蓄えることができます。
この記憶力と想像力は予期できる問題を解決するために必要不可欠な素晴らしい能力です。
しかし、それらの予測はあくまでも今まで経験してきた「経験則」を土台として作られるものです。
我々の一生・経験は、宇宙の寿命の長さを考えればほんの一瞬の出来事です。
そんな一瞬の経験だけで、未来の全てが見通せる筈はありません。
我々は未来を完璧に予測することはできません。
将来、いったい何が起こるかは判らないのです。
予想外の出来事に遭遇したとき、今までの経験や想像は役に立ちません。
自分の理解の範疇に収まらない大事件も起こりえます。
我々はそんな予想外の出来事に出くわした時、大きな危機が迫っていると感じます。
「こんなはずはない!」
「想像していた結果と違う!」
怒りとは頭の中の予想と実際の現実、この差異により湧き上がる危機感、恐怖により作られるのです。
自分の理解が及ばない現実。これは今まさに目の前に迫っている危機です。
人間は、この危機的状況を、自分の理解の及ぶように、理想通りの現実に変えようとします。
現実の軌道修正を試みるのです。
思い通りにならない恐怖、危機的な現実。
これらに打ち勝ち、自分の理想通りに軌道修正しようとする意識。
これが怒りとなって顕れます。
言ってみれば、怒りとは困難や危機を乗り越え、生き残るために欠かせない衝動のひとつなのです。
怒りを治める方法
怒りが収まらない人、衝動的に怒ってしまうために悩んでいる人がいます。
中には、怒りに振り回される自分に悩んでいる方もいるでしょう。
しかし、怒りという感情は自分の想像してきた「妄想の未来」「理想の未来」が自分を傷つけた結果として生じるものです。
すなわち、怒りだけを無理に抑えようとしても、それは溢れる湯船の表面を掬い続けるようなものです。
きりがありません。根を絶つ必要があります。
怒りは非現実的な空想により生まれます。
怒りっぽい人は、実は「妄想たくましい」、「空想の世界を生きている」のです。
自分が「こうであって当然」「これが常識」「こうするのが当たり前」と勘違いしている、「自分の非常識な妄想」を見つけましょう。
そして、それを手放しましょう。手放すことができれ、怒りは自然にコントロールできるようになるでしょう。