不調を改善するためには何が必要なのか?
身体の不調の種類は実に様々です。
重い、痺れる、だるい、思ったように動かない、ジクジク痛い、ズキズキ痛む、鈍い痛み、刺されるような痛み・・・
痛い!という症状ひとつを取ってみても、その痛み性質や痛む部位、どんな原因によって痛みが出ているのか?その理由は千差万別です。
それは、たとえ一見同じ病状に見えていても、実は原因がまったく異なることがあります。
いえ、実際には同じ原因や経路から発生している痛みなど、どれ一つとして存在していません。
例えば、長時間の家事やデスクワーク・・・無理な運動によって「五十肩」を発症する方はとても多くいらっしゃいます。
当院にも肩を挙げると痛い!と言われる方は結構な頻度で来院します。
五十肩の最大の特徴は、腕を水平に上げたり、後ろに回すと肩の前面や上面からズキッっと痛みが走ることです。
この、「肩を挙げると痛い!」という症状には、「五十肩」という病名が付けられています。
それでは、この五十肩と呼ばれる症状は皆、同じ原因によって起こっているでしょうか?
例えば、肩の筋肉自体が過負荷によって傷んでしまった方もいれば、慢性的な血流不足によって肩の骨が変形してしまった方、または首の神経が炎症を起こすことによって肩に痛みが走っている方もいます。
中には感染症や栄養不足、自己免疫疾患による免疫異常によって五十肩を発症する方までいるのです。
肩と一見関係がなさそうな「肋骨」が脱臼を起こし、この外れてしまった肋骨が肩の筋肉を押さえつけてしまうことで、肩の痛みを発症する方もいます。
これらは全て五十肩という同じ結果を引き起こす原因となります。
しかし結果だけを見ても、その原因がそれぞれ全く違うのです。
栄養不足で五十肩になっている方にどんな矯正テクニックを使っても肩が治ることはありませんし、逆に骨のズレによって発症している場合、どんな高価なサプリメントを摂取したところで、肩の痛みが治ることはないでしょう。痛み止めならば痛みを一時的に誤魔化せるかもしれませんが。
例えば、腹筋の緊張異常によって骨盤や体幹のバランスが大きく崩れている方がいます。
この方は、「腹筋の線維委縮」によって肩の筋肉に大きな負担がかかっていました。
働けない腹筋の力を、肩の筋肉で代償、肩代わりしてもらうことで補っている状態です。
ただでさえ日頃から過負荷がかかっている肩の筋肉をもみほぐし、血流を改善しても、その痛みの改善は一時的なものとなってしまいます。
それでも痛み止めやマッサージを繰り返して無理に使い続けていると、今度は限界を越えた肩の筋肉が急に痛み出したり、もしくは負担がさらに延長である首に波及し、頸椎捻挫や変形、神経圧迫を起こし始めるかもしれません。
こうなってしまうと厄介です。最善の施術を行っても、完治まではかなりの時間がかかります。
このようなケースの場合、真っ先に行うべきは腹筋の再生と筋力の回復なのです。
本来、肩の筋肉は腹筋ほど強くありません。容積にも限界があるため、腹筋の代わりを務めることは出来ないのです。
インフルエンザの治療薬をコロナウイルスに使っても、それで病気が治ることはありません。
同様に、肩が痛い、腰が痛いからと言って、マッサージや矯正など、一律の治療をしていても、原因を改善できなければ痛みは治らないのです。
効果的な治療を行うために必要なのは、なぜ身体が悪くなったのか?何が起こって痛みを発生しているのか?
正しく診断することが何よりも大切なのです。
痛み止めは薬局に行けばいくらでも売っています。処方箋さえ出してもらえれば薬はカンタンに手に入れることが出来ます。
しかし、「どのような病気なのか?」「原因は何なのか?」が分からなければ、飲むべき薬の見当がつきません。
誤った処方をしてしまえば、病状を悪化させることもあるでしょう。
整体や接骨も全く同じです。
マッサージ、鍼灸、整体、カイロ、骨盤矯正・・・
「どんな種類の治療を受ければ良いのか?」よりも、「どこを治療する必要があるのか?」を見極めることが最も大切なのです。