運動不足の身体は何故固まるの? 筋肉が線維化する理由
身体は常に代謝を続けることによって筋肉や骨格を維持しています。
例え何も特別なことをしていなくても・・・5年ほど経てば、身体の全身の細胞はすべて入れ替わっている、なんて言われるほどです。
5年前の自分と現在の自分は、姿かたちは同じですが、細胞組成レベルで見てみれば、ほぼ別人だということですね。
特に筋肉は常に動くことを求められており、破壊と再生が著しい組織のひとつです。
身体を動かすたびに、筋肉の繊維はある程度損傷を受け、疲労していきます。消耗していくという点は、車の可動部分であるギアやベルトと同じです。
筋肉を動かすたびに、常に筋線維の小さな破壊と再生のサイクルが行われており、破壊されるたびに、その破壊のベクトルや性質に併せて、身体は適応しようと変化を続けています。
例えば、常に同じ動きばかりをすることによって、同じような筋肉の壊し方を続けていると、その動き「だけ」に対して最も適切な動きと抵抗力が身に付くように筋肉は「進化」します。
例えば、もともと50センチ伸び縮みする筋肉があります。
しかし、職業や生活習慣の影響で、日頃から10センチほどの範囲だけしか集中的に伸ばさないような使い方を続けていた場合、この筋肉はいずれ10センチほどしか伸縮できないようになってしまうのです。
何もこんなに硬くなることはないじゃないか!と思いそうですが、こうなってしまうのにも理由があります。
第一に、無駄なエネルギー消費を避けるため、もう一つは、動きを効率化するためです。
例えば、日頃乗っているクルマに(ここではMT車だと仮定しましょう)、7つギアが付いています。
5つほどは日常で良く使うギア、しかし、残り二つは時速200キロ、時速500キロ専用のギアです。
そして、この特殊なギアを整備するために、メンテナンス費用が毎年プラス200万円掛かっていたとしたら、あなたはどうしますか?
必ず使う必要があるギアならばしっかりメンテナンスを続けて取っておかなければなりませんが、もしもまったく使わないのであれば?費用の無駄ですよね?
しかも、その特殊なギアがとても重い代物で、デッドウェイトになるものだとしたら、ますます取り外したくなるでしょう。
ガソリン代も無駄にかかるわけですから。
日頃からまったく使わない筋肉に対して、身体は「コストの無駄」だと判断するのです。
そして、本来筋肉があった場所を線維で埋めることにより、とりあえず支える力だけを残そうとします。
支える力だけが残されていれば、本来筋肉に支えさせていた支持力に使うエネルギーを節約することができます。
この節約志向の働きは、特に血液循環が悪かったり、栄養不良の場合には、特に顕著に活発に働きます。
そもそも筋肉を養うためのエネルギーが足りないのですから、身体は頑張って節約しようとします。
当然の反応と言えますね。そう、これも身体が環境に適応した結果なのです。
身体を定期的にしっかりと伸ばすということは、全身の血液循環を促進し、全身の筋肉を使うこと。筋肉を使うということは、その筋肉の必要性を身体に教えてあげる、ということにもなるのです。
歳を取るごとに細胞の再生力はどうしても落ちるため、筋肉が弱っていくのは仕方ないことではあります。
しかし、やはり定期的に運動やストレッチをすることで身体を刺激し、代謝を上げる意識を日ごろから持っておくことが、健康寿命を延ばすためにはとても大切です。
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